奥州の尺八 其の八 ~仙台 其の一 布袋軒~

仙台藩領内の虚無僧寺は、白石の武縁寺、金成の金成寺、磐井の鈴澤寺や寺号の無い三夕など在った様ですが、仙台と言えば先ず思い浮かぶのは「布袋軒」でしょう。 『伊達氏ゆかりの虚無僧寺 普化宗寺院 虚空山布袋軒』(鈴木法印 平成十一年十月)が、一冊でたいへん良く纏まっていてオススメです。まだ少数の残部があるのではないかと思いますので、著者に問い合わせてみると良いのではないでしょうか。ヤフオクで高額転売…

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サシってなんだろう? 其の一 ~九州鈴慕 山越~

今回は愚痴ですので、自己責任でお読み下さい。 急にテーマが飛びますが、今回は九州の代表的本曲「サシ」についてです。 「維新以後の博多一朝軒」(一朝普門 『普化』第十六冊 昭和14年8月)によるとサシには真行艸が有り、それぞれ棒・淘・練の各サシだとしています(山上月山は逆で棒サシを艸としている)。 サシ類は大体「ツレー ハチーウー」で始まる、「虚空」をシンプルにした様なスッキリした曲…

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紀伊半島・関西 ぶら珍尺八旅 其の三 ~谷狂竹・棚瀬栗堂 その他先師墓所~

普済寺歴代墓所参りの後も目的地を決めておらず、名古屋に出て西園流歴代墓所や覚王山日泰寺裏の初世二世西園頌徳碑へとも思ったのですが、翌日は棚瀬栗堂墓所へ向かうつもりでしたので、道すがらの名張に向かい谷狂竹墓所へ。 ●谷狂竹墓所 名張駅から南東に600mくらいの曹洞宗徳蓮院に在ります。 ・龍雄山 徳蓮院   どなたが書かれたページか分かりませんが、徳蓮院についてのページリンクを無断で張らせ…

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紀伊半島・関西 ぶら珍尺八旅 其の二 ~普済寺~

不要不急の外出は控えなければいけない時世ですが、昨年末十二月二十七日から三十日にかけて、何処に泊まるとも決めず思いつくままに尺八先人達の墓所など訪ねる度に出てみました。 忘れる前に、ちょっとまとめておこうと思います。 今回は、その二回目です。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●普済寺 28日は特急南紀4号に乗って津へ向かいます。車中では終止ウトウトしていましたが…

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紀伊半島・関西 ぶら珍尺八旅 其の一 ~尾崎真龍~

不要不急の外出は控えなければいけない時世ですが、昨2020年末12月27日から30日にかけて、何処に泊まるとも決めず思いつくままに尺八先人達の墓所など訪ねる旅に出ました。 忘れる前に一寸まとめておこうと思います。 ※“ぶら珍”はぶらり珍道中の略だそうです。 ●那智滝 27日夜明け前に家を出て、新大阪からくろしお1号で紀伊勝浦へ。乗客は極少なく、しかも殆どが白浜駅で降りてガラ空…

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奥州の尺八 其の七 ~小野寺源吉とその伝曲周辺 其の五 広沢静輝~

今回も前回までに引き続き、小野寺源吉伝曲を伝えた人物について。「奥州の尺八」というタイトルですが、乳井建道から錦風流と鶴の巣籠を習った大阪人、広沢静輝についてです。 現在「布袋軒伝 鶴之巣籠」などと呼ばれる曲を吹く人は、譜だけ入手して習わずに勝手吹きしているのでなければ、伝を二~三代遡ると必ずこの人の名が出て来ることでしょう。 ●廣澤静輝 先ずはプロフィールを『昭和前期音楽家総…

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奥州の尺八 其の六 ~小野寺源吉とその伝曲周辺 其の四 乳井建道~

今回は「奥州の尺八 其の五 小野寺源吉とその伝曲周辺 其の三~」の続きで、折登如月から錦風流と鶴之巣籠曲などを学んだ乳井建道についてです。 今回の資料類は、殆どが十年ほど前に前川耕月師よりいただいたものです。御本人が既にこちらで書かれていますが、まあ蛇足という事で。 ●乳井建道 先ず、乳井建道について書かれたものを引用します。 『普化宗史 その尺八奏法の楽理』(高橋空山 普化…

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(PR)公演延期のお知らせ

前回御案内させていただきました、本曲同人会『尺八古典本曲断片』第十二回公演「北陸慕情」は、緊急事態宣言の発令を受けまして、真に残念乍ら延期させて頂く事となりました。 御予約いただいた御客様、並びに御来場を検討下さった皆様方へ深く御詫び申し上げますと共に、状況を鑑み、可能な限り早く次回の開催が実現出来ます様、準備に努めて参ります。 今後とも引き続き御支援御厚情賜ります様、何卒宜敷く御願い申…

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(PR)あけましておめでとうございます

明けまして御目出度う御座います。 冬らしい寒い日が続きますね。演奏会の御案内をさせて下さい。 (2021 1 17追記 緊急事態宣言の発令を受け、開催延期となりました。)   『尺八古典本曲断片』という同人会を年に二度ほど続けており、今回はその十二回目。 この度は、寒い冬といえば北陸!ということで『北陸慕情』というテーマを選択しました。 富山県には、虚無僧寺では無いが臨済宗国…

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静岡の尺八 其の三 ~無量寺跡~

前回に続いて、今回も静岡の尺八関係。静岡に在った虚無僧寺無量寺と、その近くに在る碑などについてです。 ●福聚山無量寺 静岡に在った、一月寺系西向寺の末寺。 『普化宗史』(高橋空山)によると開山は羅風養岩とのことですが、近隣の清水寺に残る歴代位牌では羅月養岸となっている様子。空山先生と他の人、何れかが写し間違えたものでしょうか。 『虚無僧寺院(普化禅宗寺)考 資料編』(小川春夫)か…

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静岡の尺八 其の二 ~柳居青翁とその門人~

前回に続いて、今回も静岡の尺八関係。前回の「静岡の尺八 其の一 ~普大寺~」で少し触れた堀内是空とも関係のある碑とその関連人物についてです。 ●尺八碑銘   静岡駅からほど近い、徳川秀忠の生母お愛の方の菩提寺、金米山宝台院に在る石碑です。 柳居青翁という尺八人を讃えて門人達が明治二十三年十月に建碑したもので、「尺八と虚無僧に関する文献資料」(小菅大徹 『一音成佛』第四十三号 平成…

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静岡の尺八 其の一 ~普大寺~

こんな御時世ですが、尺八の鑑定依頼を受けて静岡に行き、ついでに尺八関連の場所を尋ねましたので、今回から少し静岡がテーマ。 先ずは平成二十五年に訪ねた普大寺跡について、手元のものを色々引っ張り出して思いつくまま書いてみようと思います。 ●鈴鐸山普大寺 静岡で虚無僧寺と言えば、まず思い浮かぶのは浜松の普大寺ではないでしょうか。 本寺は金先派一月寺で、名古屋の西園流本曲は、普大寺の伝と…

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訂正・補遺・蛇足 其の一

“私”という読者を楽しませる為に書いている、ほぼ自分用まとめであるこのブログですが、だからこそ新資料を入手したり何か記事を見つけると、色々と追記・訂正したり写真を差し替えたりすることがあります。 括弧内に年月日を記しての追記もありますし、単に書き直していることも多々あります。 今回は、以下の追記を行いました。 ・「琴古流の尺八 其の八 ~荒木竹翁・山崎竹隠~」に、野田静華師からいた…

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奥州の尺八 其の五 ~小野寺源吉とその伝曲周辺 其の三 鶴之巣籠~

今回は「奥州の尺八 其の四 ~小野寺源吉とその伝曲周辺 其の二~」の続きで、「小野寺源吉伝 鶴之巣籠」と、その伝に携わった人物について書こうと思います。 小野寺の故郷、宮城県金成近辺は昔、鶴が多かったそうで、観察する機会には事欠かなかったのでしょう。 前回同様に、同人会「尺八古典本曲断片 其の什 奥州巡錫」で書いた解説文を転載します。 ・古典本曲 奥州流 鶴之巣籠 「仙台…

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珍品 其の一 ~刀剣~

またまた雑談となりますが、今回は最近譲っていただいた珍品と、それに関連しそうなものを幾つか掲載します。 何れも刀剣や刀装具か、それを連想させるものです。 ・脇差 尺八拵え      一見黒漆塗の二尺管ですが、実は脇差。 茎には「於東都綱俊」「文政二年十月日」と切られ、白鞘には上記の他「刃長壱尺参寸四分有之 筍石(笛石か?)」と方印がありますが読めません。 東都綱俊とは加藤…

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普化図

旧暦の十月十三日は普化忌。普化禅師の命日とされていて、今年は十一月二十七日に当たります。 昔、普化宗ではこの日に普化講を営んでいた様で、虚無僧達が集まって法要の後、継印の更新などした様です。 今も新潟には、新暦で月遅れの十三日に禅宗の坊さんを呼んで経を上げてもらい、普化講を続けている所があるそうです。 流派や宗教に捉われない尺八も結構ですけれども、虚無僧達の残した曲を吹く人々は、この日を心…

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明暗尺八界の流れ星 源雲界

今回は急にテーマが飛んで、源雲界についてです。 私はこの人のファンで例年秋分の日頃に墓参りさせてもらっていますが、今年は今日が墓参でしたので、雲界のことを書こうと思いました。 雲界については、神田可遊師の「尺八名人・奇人伝⑬源雲界」(『虚無僧と尺八筆記』)が読みやすく分り易くオススメです。 また『明暗尺八界の奇人 源雲界集』(神田俊一・石橋愚道 編 昭和56年3月30日発行)は、雲界出…

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(PR)秋涼の候

台風が過ぎると急に秋めいて来ましたね。 尺八本曲の同人会「尺八古典本曲断片」もなんとか無事(?)終了いたしました。 疫病も少し落ち着きを見せたとはいえ、台風もやって来る大変な時期に御来聴下さった方、真に有難う御座いました。 次回第十二回は来年、令和三年一月三十日(土)を予定しています。 寒い時期ですので「北越」をテーマに、また来年の話をすると鬼に笑われてしまいますが、来夏の第十三回は「夏…

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奥州の尺八 其の四 ~小野寺源吉とその伝曲周辺 其の二 鈴慕~

梅雨が明けたら、大変暑い日が続きますね。 今回は小野寺が伝えた著名な二曲の内、鈴慕について書こうと思います。 小野寺が伝えた鶴の巣籠と鈴慕は、それぞれ「布袋軒伝 鶴之巣籠」「松巌軒 鈴慕」として有名だが小野寺からの伝曲だということは知られていないのでは?と前回書きました。 小野寺からこの曲を学んだ津軽の尺八家達は、「小野寺の鈴慕」「宮城鈴慕」と思っていた様です。 では何で松巌軒な…

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(PR)残暑御見舞い申し上げます。

暦の上では秋になりましたが、大変暑い日が続きますね。 今回は演奏会の御案内です。   「尺八古典本曲断片」という同人会を年に二度ほど続けていて、今回はその十一回目。 副題の「九州歴遊」は、夏といえば暑い、熱いといえば九州というシンプルな連想からです。 江戸期には博多・久留米・柳川・長崎という九州の上の方に虚無僧寺があって、明治四年の普化宗廃止後も唯一、博多の一朝軒が残りました。…

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